2019年のソフトウェア系のふりかえり
2019年も終わりに近づいたということで、ソフトウェア関連のイベントをアジャイル系の活動とソフトウェアテスト系で分けて、ふりかえりをしてみます。
アジャイル系の活動
アジャイル札幌のイベントもここ1、2年で多くなりました。これ以外にも読書会がコンスタントに実施されていて、人や情報がつながってきている感じがあります。前のイベントのxxを実施してみましたというのがとても励みになっています。
今年も道外からたくさんの著名な方に講師としてきていただきました。本当にありがとうございました!!
アジャイル札幌はとても恵まれているコミュニティだと思っています。
ソフトウェアテスト系の活動
テスト系のアウトプットとしては、State of Testing 2019とテスターちゃんの翻訳のお手伝いをしました。
翻訳はまだまだスキル不足が強いです。。。英語頑張らねば。。。
あとは東北のメンバーと一緒に出した『ソフトウェアテスト技法練習帳』ですね。産みの苦しみはかなりのものでしたが、とりあえず年内に出せて良かったですw 来年は練習帳を使った勉強会を実施しようと思っています。
来年に向けて
それ以外にもいいITで話せたり、ゆるWebとコラボしたりと面白いことも増えました。
来年もスクフェス札幌2020が待っているのでエンジン全開でいきます!
イベント一覧
- 2019-01-09 スクラムギャザリング東京[参加]
- 2019-02-22 スクラムフェス大阪[参加]
- 2019-03-01 スクラムギャザリング東京の報告会
- 2019-03-15 プロダクトオーナーについて詳しく知りたい!
- 2019-03-16 Agile Japan 2018(年度) サテライト<札幌>
- 2019-03-27 JaSST'19東京
- 2019-04-25 『管理ゼロで成果はあがる』アクティブ・ブック・ダイアローグ® 読書会
- 2019-05-31 JaSST'19東北[Speaker]
- 2019-06-06 ソフトウェアシンポジウム@熊本
- 2019-06-15 TDDBC札幌2019
- 2019-07-20 大阪粘土の陣[Speaker]
- 2019-08-24 正しいものを正しくつくる 出版記念 〜 基調講演&ABD読書会 〜
- 2019-08-25 いいITつながる交流会[Speaker]
- 2019-08-30 JaSST'19北海道
- 2019-09-05 看護師さんと心理的安全性ゲーム[参加]
- 2019-09-06 心理的安全性ゲームを楽しむフライデーナイト
- 2019-10-25 カンバンゲーム ーカンバンをもっと上手く使おうー
- 2019-10-26『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』- ABD&著者講演
- 2019-11-01 テスターちゃん作者と学ぶテスト入門
- 2019-11-02 JAWS FESTA 2019 SAPPORO[参加]
- 2019-11-17 いいIT交流会 ブロックチェーン[参加]
- 2019-11-23 TDDBC仙台[参加]
- 2019-11-30 システムテスト自動化カンファレンス2019[参加]
- 2019-12-18 探索的テスト勉強会 with ゆるWeb[Speaker]
- 2019-12-21 紙粘土スクラム 2019[Speaker]
OUTPUT等
- State of testing 2019 日本語版翻訳 https://www.practitest.com/resource/state-of-testing-report-2019-jp/
- テスターちゃん英語版お手伝い
- ソフトウェアテスト技法練習帳出版 https://www.amazon.co.jp/dp/429711061X
紙粘土スクラム@札幌 冬の陣
2019年も札幌で紙粘土スクラムを実施しました。 内容はちょっとずつバージョンアップしています。
今回は初心者も多かったので、手を動かすことを重視して進めました。 説明もそこそこに2チームに分かれて紙粘土の動物園を作りました。
今回も様々な障害を乗り越え、4イテレーションを回しきって、ステークホルダーが納得する動物園を作ることができたと思います。
(詳しくはネタバレになるのであまり書いてません)
庄田さんのステークホルダー役が凄すぎて、みんな完全にビビッてましたね(笑
イベント後に考えたこと
イベント後になりますが、参加者の渡辺さんのFaceBookで気になる箇所がありましたので考えてみました。
最後に全体のふりかえりの段階で、一緒にチームとなったメンバーから 女性メンバ『楽しくなかった(途中から作ればいいんだ、作ればいいんでしょ?ってなった)』 という発言が飛び出した。
仕事は楽しいの?楽しくないの?どっちなんでしょう。 今のところの自分の考えを書いておこうと思います。
ものづくりにおいてまったく同じものを作ってないという状況においては、作ったものがこれでいいのか不安になることがあると思います。 その不安を取り除く方法は色々ありますが、一つはチームの中での対話ではないでしょうか? 自分は1スプリントの中で対話をしながら認識合わせをする、困ったことがあったら相談するということが必要だと思ってます。
ほら!チームの障害を取り除く役目のスクラムマスターがいるんだから相談しないと! 航海におけるコンパスと同様に、チームメンバーと『合っている』という認識合わせをすることで不安なく仕事を進めることができます。
TDDのグリーンのように、『いいよ。あってるよ』と教える人にワタシハナリタイ。
受動態 or 能動態 ②
反響が良かったのでもうちょっと書いてみました。
今回は受動態と能動態のメリットを考えてみようと思います。
受動態のメリット
英訳がしやすい
会社によっては書いたテストケースを翻訳することもあるのではないでしょうか? 主語をはっきり書く英語では受動態はそのまま訳せることが多いです。
チャートが表示されること => A chart is shown.
一方、能動態では主語を補完し、下記のようになります。
チャートを表示すること => System shows a chart.
これだとSystem、System、SystemとSystemが連呼されてしまいますね。
ただし英訳については論文の最近のトレンドは能動態みたいです。ここらへんの記事も面白かったので時間ある方は是非どうぞ。
2014年の記事なので少し古いですが。
https://www.editage.jp/insights/using-the-active-and-passive-voice-in-research-writing
能動態のメリット
文がシンプルになる
能動態のメリットといえばこれですよね。
~されると書くよりも、~すると書いたほうがシンプルでスッキリします。
自分たちが作ってるぞ!感がでる。
当たり前ですが、受動態より能動態の方が自分事のイメージが強くでます。
「チャートが表示されること」より「チャートを表示する」と書いた方が自分たちのシステムがチャートをコントロールしている感がありますよね。
最初にも書いた通り自分はどちらでもいい派なのですが、自分やチームの中で指針などがあると書きやすい&見やすいと思います。
受動態 or 能動態 ①
ソフトウェアテストの小ネタということで渾身の小ネタを書こうと思います。
ソフトウェアの小ネタアドベントカレンダーの10日目です。
ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2019 - Qiita
スクリプトテストの書き方の小ネタ
自分がスクリプトテストを書くときに意識していることをお伝えします。
さて、みなさんは”[チャート]ボタンをクリック後、チャートが表示される”というテストケースを書くときにどうやって書きますか?
◆操作
[チャート]ボタンをクリックする
◆期待結果
チャートが表示されること・・・①
or
チャートを表示すること・・・②
期待結果は受動態①か能動態②です。
あっ どっちでもいいんじゃないかという声が聞こえてきます。
そうです!!正直どっちでもいいんです。統一されていれば。
違いの原因
どうして起こるかというと主語の違いです。主語を【】でくくってみます。
①【チャート】が表示される
②(【システム】が)チャートを表示すること
②のほうは隠れた主語があることがわかりますね。このことから文体の違いは主語の違いということが判ります。 そうすると主語を意識して合わせていくことで、文体をそろえることができそうですね。
まとめ
- 主語を意識して書くと文体の統一感が出る。
実は機能仕様書も同じ問題が発生することがあるので、自社の仕様書の文体がそろっているか確認してみてください。
ザッソウ本のABD&倉貫さんの基調講演。
10月の豪華なアジャイル札幌イベント第2弾。
ザッソウ本のABDそして倉貫さんの基調講演。
最近アジャイル札幌で取り入れている読書会スタイル。それがABD!
参加者が数ページを担当し、それぞれが担当のまとめを発表するという流れで実施します。
題材は倉貫さんの新刊「ザッソウ本」です。レビューアとして参加させてもらった思い入れの深い本なのでとても楽しみにしていました。
今回は前日のカンバンゲームに引き続き、メンバーズエッジさんのオシャレな会場をお貸しいただきました。ありがとうございます!
ザッソウ本のABD
アジャイル札幌もABDの回数を重ね、少しずつですが改善をしていています。今回は一人当たりの担当の本の量を少し減らしています。全部を読むのではなく理解することを第一目的にしました。今回はABD自体が初めての人が多かったですが、理解のペースが良い感じで進んだと思います。
まとめの時間が終わったころには、参加者がとても柔らかい雰囲気になっていて、ザッソウ本の内容、そこからの普段の仕事のこと、困っていること、美味しいお店の話(?)など、雑談の時間を多めに取ることができました。早速、ザッソウ本を実践できたと思います。
倉貫さんの基調講演
四国から飛んできてくれた倉貫さんの基調講演。 ソニックガーデン以前の話から納品のない受託開発、リモートの話、管理のない話、そしてザッソウの話とシームレスなイメージが伝わってきました。 倉貫さんから直接アジャイルの話聞けるって最高じゃないですか。
今回の本に書かれているザッソウは2つの意味があるとのことでした。2つ目の『雑に相談』の方が今の自分には効果が高そうです。
- ザッソウ=雑談+相談
- ザッソウ=雑に相談
今回の学び
アジャイル開発をコミュニケーションに適用したのがザッソウ
アジャイル開発をコミュニケーションに適応したのが、ザッソウです。#agilesapporo
— ネモトノリユキ (@nemorine) October 26, 2019
これは衝撃的で、言われるとそうなんだけど気づかなかったなぁ。 倉貫さんのBlogの「雑なやりとりが圧倒的な生産性を生み出している」が参考になります。 kuranuki.sonicgarden.jp
雑でもよい
雑でもそれを打ち消すくらいのスピードがあればよいという話をしてくれました。キーワードは雑でも高速なキャッチボールです。 雑に相談したいです。
常に裏技(ショートカット)を考えている
2次会でもとても熱い話を聞けました。これが醍醐味ですよね。
倉貫さんはソニックガーデンの前の会社では昇進も一つのゲームと見立てて、常に裏技を考えていたと話していました。常に考えている、そして行動している、ということが印象深かったです。
ソニックガーデンの取り組みも外部から見ると突拍子もないと思われることが多いと思いますが、常に考えて仮説検証を高速に回した結果、大きな成果になっている例だと思いました。
倉貫さん、前作に引き続きABDに来ていただきありがとうございました! ちょっとずつでも現場でザッソウの種を蒔いていきます。
カンバンゲーム
10月のアジャイル札幌のイベントは豪華な2本立てですw
10/25にやっとむさんが来札してくれて、カンバンゲームを実施しました。
やったこと
サイコロを使いながらタスクを消化していくというゲームです。
- 最初は"ToDo"、"Doing"、"Done" のシンプルなスタイルのカンバン。
- 慣れてきたら、"Doing"を"設計"、"開発"、"テスト"に分けたカンバン。
サイコロだけだと運の世界ですが、実際の現場であるようなハプニングやラッキーなことが書かれたチャンスカードがあり、これがまた盛り上がるんですよね。
カンバンゲームのSlideShareはこちら。
https://www.slideshare.net/yattom/ss-37785081
カンバンゲームでの学び
一つひとつ仕事を終わらせることが大事
これは人のリソースではなく、フローに着目しているという説明でした。マルチタスクにしないコツはそもそも始めないことだということもWIP制限の話を聞きながら考えていました。
チームメンバーのスキル、得意分野の把握すると問題に対処しやすい
カンバンゲームではチャンスカードの一つであるソリューションカードという種類のカードを持つことができ、問題が起きたときにチームの誰かのソリューションカードで対処していきます。 このとき、チーム全員で考えて解決策を導きだしました。自分の得意分野・不得意分野は把握していると思いますが、他のチームメンバーのスキル・ソフトスキルも把握しておくと現場の問題にも対処しやすいと感じました。 自分から頼むと断れれるけど、Aさんから頼むとなぜかやってくれる、なんてのも知っておくといいのかもしれませんね。
ゲームとリアルのつながり
自分達のチームはテスト工程のときに「仕様が分からない」というプロブレムが出て、リアルだなぁと感じました。またそこから実際の現場だとどうしたらいいんだろうみたいな話に繋がりました。他のメンバーがどう考えているかやどうアプローチしていけばベストなんだろうとワイワイと盛り上がりました。 やっとむさんのセッションにもふりかえりの時間が取られていますが、ゲーム自体にも現場とつながりを持たせるような仕組みが入っていて、それがとても素敵だなぁと思います。
やっとむさん、今月もありがとうございました! 会場を提供してくれたメンバーズエッジさんありがとうございます!オシャレな環境で最高です。
TDDBC2019札幌開催!
TDDBC2019札幌が終わりました。 最近アジャイル札幌のイベントは神回が続いている気がしているんだけど、今回も凄かった。。。
内容はしょーださんのブログにお任せして、自分は裏話など。
@t_wadaさんのスタンド(ワイルド・サバンナ)のスタンドについて
TDDBCをやろうと思ったときに思いついてしまった「スタンドのスタンド」というパワーワード。どうしてもやりたかったのでしょーださんに運営のメインをお願いしてスタンドのスタンド作成を実施することにしました。 ボード自体は素材の透明度、質感、剛性などがピッタリのポリカーボネートというものを使います。
苦労したところは立てるところ。 立たないスタンドはスタンドではない!! でもなかなか立たないんです。。。 結局垂直ではなく80°の角度を付けることで安定しました。皆さんも作るときは80°で角度つけるとスタンドのスタンドを作ることができると思いますのでやってみてください。
ということで、@t_wadaさんの「なん、、、だと、、、」投稿が1000いいねを超えることができて満足ですw
なん……だと……!?#tddbc #agilesapporo pic.twitter.com/H9o6BrKjBD
— Takuto Wada (@t_wada) 2019年6月15日
TDDの意味の変化について
@t_wadaさんの講演で開発者目線と品質保証目線でのテストコードの違いについてお話ししてくれました。
自分が5年以上前に@t_wadaさんに質問したときはTDDは開発者のものであり、品質保証とは関係ないという回答をもらいました。たぶん品質保証って言っちゃうと品質保証おじさんが湧いてくるからでしょうね。。。
でも、今回はこのテストは開発者としてはいいけど、品質保証としては足りないというように目線の違いによる話をキチンとしてくれています。開発者としては品質保証の話が分かるし、品質保証の人(テストエンジニア)にはこれくらいのテストで開発ができるんだというのが分かります。お互いの立場の違いを認めるのことが重要だと思います。
ここをキチンと考えれると、テストコードを2度おいしい状態で使うことができるということですね。
井上さんのマサカリ
札幌の参加者も慄いてた仙台の井上さんのコードレビューについてどういうところをポイントに見ているのか聞きました。
お題の作者でもあるので自分だったらこういう風に書くということがあって、それと違うことがあるところを深く掘っていく感じとのことでした。
本当は光って見えるんでしょ?って問い詰めたんですがそんなことはないと言われました。(ほんとかなw)
でもあのレビューは本当に凄くて、色々なことを濃密に考えているのを垣間見れます。
大好きな仙台の友人を札幌の皆さんに紹介できて良かったです。
感謝
@t_wadaさんはもちろんのこと、仙台の井上さんや運営のメンバー、そして熱い参加者によって今回も素晴らしいイベントになりました。本当に感謝です。
普段のイベントに比べてキャンセルの人が多かったのが少し気になったことです。もし不安だなぁということでキャンセルした方がいれば、次回はちょっと勇気を出して会場まで来てもらいたいと思っています。会場についてもらえば、スタッフが最大限のサポートをします。
のっぴきならない用事で来れなかった人は、今回のTogetter を読んで、そして次回は必ず参加してくださいね!