ソフトウェアシンポジウム2020参加報告②

SSといえばWG(ワーキンググループ)というくらいの名物になってます。 昨年のふりかえりのWGに続いて、今年は探索的テストのチャーターについて考えるWGを担当しました。4時間なのでそこそこ長丁場です。

今回は初めてのmiroを使ったオンラインワークでしたが、結論から言うと最高でしたっ!!課金してよかったmiro。

ワーキングに参加してくれた人は7名ですがどこのWGよりも実務に近く、濃いディスカッションができたのではないかと思っています。

ワークの進め方

以下のツールを使って進めました。

  • Zoom:音声用
  • miro:オンラインホワイトボード

01. 探索的テストの問題点を出す

結構短時間でサクサク付箋を作りました。
よくあるデメリットとして属人化という話も出ましたが、逆に考えると人によって違うことは違うバグを出せるのでメリットにもなるよね~なんて話もでました。
みんなで付箋を見ながらワイワイやるだけでも楽しいですよね。

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問題点

02. Explore It のチャーターの章を読んで感想を話す

Explore Itの2章をみんなで読んで感想を話しました。読みたかったけど機会がなかったという人がいたので入れて良かったワークでした。 みんなの心に残ったExplore It のワードを書き留めておきます。

  • 「探索」はリスクや問題を見つけるだけではなく、新しい要求を発見する機会にもなりえます
  • 良いチャーターはインスピレーションの源
  • あなたの探索の最終目的は、ステークホルダーにとって意味と価値がある情報を発見すること
  • 要求に関するディスカッションは、チャーターの案を作り始める最適な時間のひとつです

03. miro の付箋機能についてのチャーターを考える

チャーター、チャーターと言ってきましたが、具体的なものが欲しいということで、それぞれがmiroの付箋機能についてチャーターを考えてみました。もちろん短時間のワークなので荒いものですが、見事に全員バラバラ!かなり面白い結果となりました。

それぞれのチャーターを見ながら良いとこを出したり、めっちゃ盛り上がりました!!やっぱり具体的にするってことは大事ですねぇ。ただチャーターを書くって言ってるのに、テスト始めちゃう人がいたのはテスターの鏡だと思って眺めてました。
個人的に心に残ったことを書いておきます。

  • テスト対象のソフトウェアの価値を最初に話す
  • レイヤーの違う人は価値観が違うのでキチンと話す
  • 探索的テストを実施する人によってチャーターを書き分ける
  • どうふるまうべきかの期待値を書くこともある

なんだかもう少し頑張れば論文になりそうな雰囲気ですw

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Explore It 風のチャーター

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チャーター①

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チャーター②

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チャーター③

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チャーター④

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チャーター⑤

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チャーター⑥

04. ふりかえり

最後はFDLのふりかえりを実施しました。 自分のふりかえりとしては、、、

  • miroを使ったワークの知見を得ることができた
  • 他の人のチャーターを見ることができた
  • 参加者が楽しくやっていた

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FDLのふりかえり

ということで、個人的にはかなりチャレンジなワークだったのにも関わらず、参加者に助けられ大成功に終わりました。
参加してくれたみなさん本当にありがとうございました!!

ソフトウェアシンポジウム2020参加報告①

今年もソフトウェアシンポジウムに半分運営側として参加しました。 本当は岩手で実施するはずだったのですが、Covid-19の影響で初のオンライン開催になりました。そのおかげで参加者が増えたのは怪我の功名でしょうか。

QA チームによる顧客要求の抽出・整理を支援する仕組みの構築

speaker 柏倉 直樹 (ディー・エヌ・エー)

カスタマーサービスと設計の間にQAが入って、顧客のクレームから隠れた期待を抽出しているという話です。
ここで面白かったのは一つのクレームについてネガティブ変換とポジティブ変換の2つを実施してそれらを比較しているというところです。クレームっていうのはもっと良くしてほしいという期待の裏返しと捉えて、チーム全体で行動しているのがいいなーと思いました。

例) 不快なワードを含むコメントの削除してほしい

ネガ対策:コメント削除機能の実装
ポジ対策:不快なワードを含むコメントに遭遇しない状態

プロダクトマネージャーが求めるアジャイル開発におけるソフトウェアテストのあり方と品質向上への取り組み

speaker 板東 塁 (リクルートライフスタイル)

開発とQAが分断することなく、一つのチームとして品質のことやテストのことを考えたことで予定通りリリースができ、バグも減ったという報告でした。ここのQAはアウトスプリントQAという形でQAがスプリントの外で動くタイプでした。

いま自分は品質関係のサポートという形で社内のアジャイルチームに関わっていますので参考になることが多かったです。 ただ下記のロジックはちょっと分からなかったので、どこかで聞いてみたいです。

タイトル:コミュニティ型チーム活動の進化 ~ COVID-19 対策サイト開発から学ぶ~

松尾谷 徹 (デバッグ工学研究所)

投稿直前に変更したというCovid-19に関係するディスカッションの司会を務めました。

松尾谷さんからのプレゼンの後、主にOSSコミュニティの仕事の進め方やモチベーションについてディスカッションをしました。
自分の住んでいる北海道も最初からいままでずーーーっとCovid-19と付き合っているため、あまりに興味がありすぎてもう少し話したいと思う内容でした。。。
論文が公開されたらぜひ見てほしいですね。

2日目の午後はワーキンググループを担当したのですが、それは面白すぎたので別エントリにしようと思います。

テストとチェックと探索と。(Testing vs. Checking vs. Exploring)

TwitterでTestingとCheckingとExploringの話があったので、源流をたどってみました。 色々な人の意見を確認して自分にしっくりの定義を選ぶといいのではないでしょうか。

Testing と Checking

Michael Boltonさんのサイト(2009/8/29)

Testing vs. Checking
https://www.developsense.com/blog/2009/08/testing-vs-checking/

簡単な要約

・Checkingは確認である。(Checking Is Confirmation)

プログラムが失敗しないことにフォーカスを当てるものです。

・Testing は 探索と学習である (Testing Is Exploration and Learning)

「プログラムがどのように動くか、どのように動かないかについて重要なことすべてをしっかりと学習する」ことにフォーカスを当てるものです。

Memo: ここでは完全にCheckingという概念とTestingを分けていますね。

James Bachさんのサイト(2013/3/26)

※Michael Boltonさんと共著。

Testing and Checking Refined

https://www.satisfice.com/blog/archives/856

簡単な要約

  • Testingとは、質問、学習、モデリング、観察、推論などを含む経験、探索、実験を通じ、製品について学習することにより製品の評価をおこなうプロセスである。

  • Checkingとは、製品の確認にアルゴリズムをもった決定ルールを適用することにより評価をおこなうプロセスである。

  • CheckingはTestingの中の要素である。

Memo: Refinedでは完全に分かれた概念ではなく、Testの中の一部にCheckingがあるというイメージのようです。

Explore IT! (2013/2/21)

Testing と Checking と Exploringの話が載っています。

Tested = Checked + Explored

  • Testingには2つの側面があり、それがすなわちCheckingとExploringだといっています。

  • チェックと探索の両方が終わるまでテストが完了したとは言えません。

Memo: Explore It!自体が探索的テストの本なので、探索に重点を置いているのが分かりますね。

もしこれより古い記述があれば追記したいと思います♪ 連絡ください。

エクセルの t検定を使ってパフォーマンスを検証する

エクセルのt検定を使ってパフォーマンスを検証する

パフォーマンスの検証ってどうやってますか?

いままでは複数回計測して、平均値、または中央値で比較することが多かったです。
今回はもう少し厳密にやろうと思いエクセルを使ったt検定で有意かを確認してパフォーマンスの向上を確認したいと思います。

方針

t検定というのを使います。
たまたま平均がズレて速く見えただけなのか、それとも本当に効果があって速くなったのかを確認します。

パフォーマンスの計測

パフォーマンスを改善前後で複数回計測します。

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ここでは計測条件が同じになるようにすることが重要です。
一例ですが、DB系のパフォーマンス改善であれば以下のようなことに注意すると良いと思います。

  • キャッシュが働いていないか。
  • 計測毎に総データ量が増えすぎていないか。
  • ウィルスバスターやWinowsUpdateなど余計なソフトウェアがリソースを喰っていないか。

エクセルでの分析

  1. エクセルの[データ]-[データ分析]をクリックします。※ない場合はインストールする
  2. [t検定:等分散を仮定した2標本による検定]をクリックします。
  3. 変数1の入力範囲に改善前のデータを入力します。
  4. 変数2の入力範囲に改善後のデータを入力します。
  5. σに0.05(=5%)を入力します。
  6. 出力先を適当に調整します。
  7. [OK]をクリックします。

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結果の確認

パフォーマンスの場合は速くなっているはずということで「片側検定」を使います。 P(T<=t)片側の値を確認し、この値と0.05(=5%)を比較します。 ※もう一つ tの値とtの境界を比較してもできますが、自分はPが直観的なのでこちらを紹介します。

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今回はPの値が0.00032(0.032%)ということで、パフォーマンスが改善されていない状態という前提であれば、ほぼ起きない事象ということがわかります。(帰無仮説
ここからパフォーマンスは改善されているという結論になります。(有意である)

平均で122.5msecから110.1msecで約10%のパフォーマンス改善が認められます。

RSGT2020 Day3

最後のDay3です。

OST

朝来てイスの配置を見たときに壮観過ぎて小宇宙を感じました。

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小宇宙

OSTはAkiさんと一緒にスクフェス大阪/札幌やるけど何か質問ある?というお題でやりました。
スクフェス三河をやりたいという松原さんが温泉で泊まりでやりたいというイメージを持っていたので、大阪や札幌の事例を話ながら整理していきました。相談役のプロ?の川口さんとAkiさんのすごいところは行動の早さです。気づくと電話をして空きを確認しながら、仮の日程、場所などを決めました。『秋くらいに~』という日程の決め方だと脳が動かないですよね。これがアジャイルがソフトウェアを早めにリリースして顧客からフィードバックを求める理由なんだろうなと思います。
昨年大阪から始まったスクフェスブランドがかなり確立した気がします。他の地域でもスクフェス〇〇がどんどん立ち上がれば嬉しいです。まずはスクフェス札幌に集中することになると思いますが、他地域でお手伝いできることあれば貢献したいと思います。

アジャイルラジオの公開収録に参加したかったなぁというのが心残りです。(ミーハー)

高橋さんの話

最後のセッションである高橋さん(かっぱさん)の招待講演。 これも最後にふさわしい現実と理想が入り混じった凄まじい講演だと感じました。華々しいところだけではなく泥臭いことや失敗談も交えながらというのが現場感を感じることができて良かったです。 ONE OK ROCKの引用も良くて、YouTubeみたら熱いなぁと思いました。一生をかけて何かを成し遂げるってあんまりないです。いい年なんでそこらへんも考えないといけないのかなー。

個人的には「普及の原則」なんて、めちゃくちゃ凄いことサラりと言ってる!と思いました。

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あとはコミュニティ大事のときに、色々なコミュニティが前に出て短い紹介をしました。事前に計画されたような綺麗な流れでした。

プロダクトオーナーの話

飲み会で川口さんと話していたときに、「プロダクトオーナーは全体像を描かないといけない」と言われて、当たり前なのですがハッとしました。 スクフェス札幌も全体像をイメージして、もっとみんなに見えるようにしていかないといけないと再認識しました。透明性大事!!

奇跡的な出会い

2次会はみんなで入れる席がないということで、札幌泊まり組(かみと/ちも/ねも)で川の見えるイタリアンでこじんまりと飲んでました。パエリアが美味しかったですね。
店を出たら20:30くらい。もう一軒行きますかという話になって、光の指す方へ向かいました。そこで見つけた高架下の焼き鳥屋さん。ここ行きますかーなんて言って、3人で入りました。ドリンク注文して待っていたら見たことある外人さんが来ました。めっちゃハワードに似てるなぁと思ったら胸にScrum Allianceの文字が!!!!!もちろん本物でした。最初ちもさんは疑ってましたが(笑
その後、キロさんが階段の上から登場して、、、あとはご想像の通りギャザりました。ハワードさんとも札幌含め日本の地方の話ができたし、沖縄のいわむーさんや招待講演の高橋さんともお話できて最高に熱い時間でした。目がチカチカすると思って、ふと時計を見ると23:50で時間が完全に飛んでました。

スクラム使いはひかれ合う』ってJOJOに書いてあったのは本当だったんだと感じた奇跡的な夜になりました。

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ハワードさんと

RSGT2020 Day2

続きましてDay2です。

スクラムフェス札幌2020の宣伝

Akiさんがスクフェス大阪のステッカーを用意していたのを見て、札幌チームも用意すれば良かったと後悔しました。とりあえずできることを考えて夜中に簡単なチラシをカラーで作りました。 クマとサケの絵はアジャイル札幌のデザイン担当のいづいづ作のものです。絵が上手いってすごいですよね。しかもこれマウスで書いたんですって。天才かよっ!!

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スクフェス札幌のチラシ

貼る場所は目立たないといけないということでA3のチラシを人が通る他に掲示物がないところにしました。またA4の方はトイレの個室の中に貼りました。ここも何もない空間なので目立つし、一日一回くらいは訪れる神聖な場所ということで決めました。

結構反響があって嬉しかったです。

夜中に「はちきょう」のつっこ飯(イクラ丼)の写真を見ていたら、このイクラ達ってめちゃくちゃギャザってない?というアイディアから、いくら丼を採用してみました。 本当はイクラムフェス札幌というタイトルに変えようと思ったのですが、やりすぎ感があったのでお蔵入りしましたw

Team-Based TEAM - 会社を越えるチーム -

昨年、驚きのチーム移籍を実現した及部さんのセッション。
今回は「チームの死」について考えるというタフクエスチョンを投げかけられましたので、自分も考えてみました。 チームは複数のメンバーによって成り立っていて、そのメンバー全員がチームと認識していることがチームが生きている条件なのかなと思いました。 たとえ一人でも「このチームでは無理」となった瞬間に「そのチームはすでに死んでいる」のだと思います。ここらへん恋愛と似ているのかなと思います。
またタックマンモデルにおける4つのステージを連続的に実施できた割合が2%というのがかなりびっくりしました。
自分のチームも今ストーミングを繰り返している気がするので、全てが考えさせられる内容でした。 speakerdeck.com

RSGT2020 Day1

さて、Day1です。

スタッフの目標

『ケガなく、無理なく』 毎朝必ず言われていたこのフレーズ。言葉と実行委員の皆さんの行動が結びついているので、気持ちにゆとりができたように思います。知行合一って重要ですね。安全を必須とするまさにモダンアジャイルを体現したイベント。

ご飯の流れ

ご飯はホワイエに並べるということだったのですが、400人がこの空間にはいるのが想像ができなかったです。分からないなりに人の導線を考えて机の配置をしました。コーヒーを頼む人はここに並んで、そのあとお弁当を取るとか。その場のスタッフみんなで意見を出して決めていきます。初めてなので決めすぎないこと、実験しましょうという感じで決めたのが印象的でした。自分もうまく人が回るように養生テープで矢印を作ってみました。
さて実際に人が来たときに観察してみました。 最初のうちは見てくれる人がいて回っていましたが、人があふれるようになったときに人が多すぎて矢印が見えなくなりました。なんということでしょうwww
ただDay1こそ混みましたが、Day2以降は参加者に経験値がたまったのか、めちゃくちゃスムーズに流れました。みんな凄いっ!

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矢印

スクラムショーワークショップ

部屋担当になっていたスクラムショーのワークを見ていて思ったところです。
スクラム導入を説明する寸劇をスクラムで作る、というメタな感じが面白いです。 スクラムのワークは分担作業もできちゃうお題が多いと思いますが、今回のお題の寸劇は単純な分担作業ができなものでした。外から観察しているとチームで対話をしながら作り上げていく感じが良かったです。またスクラムのメリットを説明するために、それぞれが思っているスクラムの良いところを話し合うことで、色々な気づきがありそうでした。 あるチームは居酒屋での一幕を再現していて、最終的にはビールの小道具を作ったりしていました。かなりいい雰囲気をだしていていました。

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いい雰囲気のビール

スイーツ

途中で出たスイーツがこれまためちゃくちゃ美味しかったです。

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美味しかったスイーツ