ワールドトリガーに学ぶ「ふりかえり」

ワールドトリガー1ではチーム同士が戦いランクを競う模擬戦という仕組みがあります。オペレーターが試合を実況し、経験豊富な隊員が解説していきます。また試合が終わった後にはビデオを見ながらふりかえりを実施します。
今回はそのふりかえりがめちゃくちゃ素晴らしいのでいくつか素晴らしいと思う点を紹介をしたいと思います。

事実ベースをもとにふりかえる

試合後すぐにビデオを見て、実際の行動を把握していきます。またそのときの状況における複数の選択肢やその判断が適切だったかを確認します。またリアルタイムで見ていたときには気付かなかったターニングポイントなどもチェックします。

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ワールドトリガー22 ©葦原大介

ソフトウェアの開発の場合も一回事実を整理した方が良いふりかえりができます。特にスプリント期間が長い場合はスプリント初期に何があったかを忘れてしまっていることが多いです。KPTやYWTの場合も最初に事実整理をする時間を作ると良いふりかえりになると思います。
時系列にそって事実整理したり、感情を表したりするタイムライン2というふりかえり手法もあるので参考にしてみてください。

ファシリテーターの質問力

実況はオペレータが務めますが、このオペレータのファシリテーションが超優秀なのです。解説者は経験が豊富なので、その経験を引き出すような巧みな質問をします。例えばC級のみんなが考えそうなことを敢えてA級隊員にぶつけることで、上位ランカーがどういう風に考えているかを引き出していきます。

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ワールドトリガー12 ©葦原大介

開発のふりかえりでも同じように有識者と上手く対話をすることで、有識者の考えや判断の根拠となった過去の経験などを引き出すことができます。それをチームとして共有できるとより一層チーム力が上がっていきます。

新しい技術の紹介

各チーム、各隊員は新しい戦いのスタイルや新技を使います。ふりかえりではこれらを理論立てて推測することがあります。もちろん不公平にならないようにシーズン終盤などに種明かしをするようです。

シーズン終盤だとしても技の種明かしは一見各チームの強みを取り上げてしまうように見えます。しかし、その技の対策を考えたり、その技をヒントにした新技が出てくることで他のチームがどんどん成長していきます。ボーダーの真の目的はネイバーとの戦いのために様々なチームの成長が欠かせません。

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ワールドトリガー22 ©葦原大介

ソフトウェア開発でも個々が技術を抱えるのではなく、チーム、組織で情報をオープンにしていくことでさらなる成長が見込めます。

参考

ちなみにこれらの実況・解説の仕組みを作ったのは武富桜子(15)。有能すぎる。。。

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ワールドトリガー16 ©葦原大介

ワールドトリガーというマンガを知らない人には意味が分からないと思いますが、これを機会に読んでもらえると嬉しいです。


  1. 葦原大介先生のマンガ。めちゃくちゃ面白い。

  2. アジャイルレトロスペクティブズ オーム社