マスに翻訳で叱られた話
先日12月1日に『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』が発売されました!
https://www.amazon.co.jp/dp/4274227944
ワイワイ!!
このエントリは実践ソフトウェアエンジニアリング第9版アドベントカレンダー の9日目です。(1日間違ってた。。。)
お叱り!
翻訳をやり始めると悩みが出ます。そうDeepLとどう付き合うかです。
最近のDeepLはかなり精度がよく、日本語もしっかりしているため、翻訳時にかなり使っていました。自分の訳がDeepLを越えられないことも多く、結構な部分をdeepLの翻訳に頼っていました。
そうしたところ、レビューアのマスから「DeepL臭がプンプンするぜっ!!(JOJO風)」というお叱りを受けました。。。
マス、カズさんの最強コンビからの指摘を受け、自然な日本語になるようにかなり検討しました。
今のところ、「DeepLはいい訳を出すけど、自然な日本語になるにはもう少しかかりそう。また頼りすぎると、自分で日本語を考える力が奪われそう」というのが自分の結論です。
翻訳時に気を付けたポイント
自分が翻訳時に気を付けたポイントBEST3を書き留めます。
① 受動態と能動態 英語だとWe / Youを省略したいため、受動態が多いですが日本語だとちょっと違和感があります。 例えば、「レビューは実施される」みたいな訳です。日本語としてもあっていますが、ちょっと違和感がありますよね。 自分の中では、使い分けをしていて、自チームや自組織などコントロールできる箇所は能動態にしました。 一方、アンダーコントロールなものは受動態にしています。
②主語と述語のズレ これはカズさんに多く指摘されましたが、主語と述語がねじれていることが多くありました。 一文を主語、述語のみで読んでみると違和感を感じることができます。
③ テンポ 日本語にしたときのテンポを気にしました。 助詞や動詞も含めて音がまどろっこしいところなどはスッキリするように直しました。 関係代名詞で繋いである長文は、前から訳しつつ、途中で切って長くならないように修正しました。
せっかくなので自分が翻訳でかなり悩んだ個所を載せておきます。下記の例文は第16章のレビューの推奨手法の章の一文です。
原文
We have known this for decades, and yet there are still many developers who do not believe the time spent on reviews is almost always less than the time required to rewrite bad code [Yad17].
deepL訳(2021/12/10翻訳)
このことは何十年も前から分かっていたことですが、未だにレビューに費やす時間はほとんどの場合、悪いコードを書き直すのに必要な時間よりも短いと信じていない開発者がたくさんいます[Yad17]。
nemorine訳
このことは何十年も前から分かっていたが、多くの開発者は「レビューに費やす時間は、ほとんどの場合、悪いコードを後から修正する時間よりも少ない」ということを信じていない[Yad17]。
ここは「短い」「信じていない」「たくさんいる」と続き、なかなか上手い訳になりませんでした。カッコを付けるとスッキリしたのを覚えています。
ということで、組版ができてからも何度も読み返し、ギリギリまで頑張った甲斐があって、自分として納得できる日本語訳ができたと思っています。 またいつか翻訳に挑戦したいと思いました!
流れ弾
ちなみに翻訳が終わりそうなときにこんなTwitterが流れてきて、あやうく死にかけました。マジで危なかった ><
この翻訳は、翻訳ソフトを使った翻訳ではないかという疑いです。
— 石田英敬 (@nulptyx) 2021年10月11日
私自身も英語論文を書くときなどに使っていますが、一般的に使用できる翻訳サービスに、google translateよりも自然な翻訳ができるといわれる人工知能の機械学習を活用したサービス Dがあります。
https://www. D
この場を借りて、キチンと言ってくれたマスとカズさん、誘ってくれたみずのりに感謝したいと思います。 またギリギリまで付き合ってくれたオーム社の石田さんにもめちゃくちゃ感謝しています。