AgileJapan仙台サテライト 参加レポート②
実際に遠隔でアジャイルをやってみて分かったこと
メンバーズ 角銅浩平さん
アジャイル最大の敵は距離
もし遠隔でアジャイルができたなら・・・ ・オフショア ・リモート開発 ・人材の採用の幅が広がる
パターンランゲージとは?
ContextとProblemとSolutionがセットになって、それに名前が付けられている。
GoFのデザインパターンもその一つ。
[参考]パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語
http://www.amazon.co.jp/dp/4766419871
遠隔のアジャイルパターン
場の共有
"雑談"を含めてチームメンバー間の情報共有が行われ、チームの一体感が醸成される。
→拠点間で常時テレビ会議を行う。
全員チャット
複数チームがあるときに他のチームにも有益な情報、ノウハウは共有されると全体が改善されやすくなる
→プロジェクトに関わらないメンバーもチャットに入れる
15分の朝会
問題が起きたときに共有、対処を早くすることでロスを最小にする
→朝15分くらいの短時間で共有を行う
→全員で準備して、スタンドアップミーティングにする
→すぐに解決しない問題は2次会で!
NTT(No Talk Time)
情報量が多いとかえって集中できないことがある
→「話しかけるの厳禁」の時間を作っている
午後の2時から5時をNTTにしている
ポケット一つの法則
プロジェクトが進んでいく過程で共有すべき情報が増えて、複数の箇所に保存されている →Wikiに情報を集約し、探すコストを下げる。
[参考]「超」整理法
壁の活用
定期的に確認しないといけないもの(インセプションデッキなど)は常に見えるほうがいい
→両方の拠点に同じものを貼るようにしている
あえてアナログを選ぶことも必要
十分なドキュメント
過剰なドキュメントは作成しない。 →必要なドキュメントは作成する。(インセプションデッキ、ジャーニーマップ、ペルソナなど)
始めは同じ場所で
チームメンバーは近ければ近いほど良い →プロジェクトが始まるときは必ず顔を合わせて、チームビルディングを行う
定期的な訪問
チームメンバーの認識に自然とズレが発生することがある →イテレーション毎に顔を合わせて話す機会用いる
同じ釜の飯を食う
チームメンバーのひととなりを知ることは大事 →食べながら話すことはとても重要。 同じものを食べ、話すことは共通体験を生む
角銅さんからのメッセージ
一つだけでもぜひやってみて!! アジャイルでみんなHappyに!!
質問
【質問】
仲を良くするために一番効果があるのは?
【回答】
一緒にご飯を食べるのが効果がある
仕事と全然違う話をするのもかなり効果がある
【質問】
ネットワークを突き詰めていけば0までいけますか?
【回答】
無理だと思うので、最低プロジェクトの開始には集まりたいところです
【質問】
定期的な訪問でずれるのは何でしょうか?
【回答】
東京の方が顧客と顔を合わせる機会が多いので、その情報を取りたい
感想
自分のチームをよく分析していて、東京と仙台の距離を感じさせないような工夫が一杯あった。
結構淡々と話していたけど、ここまでたどり着くのは色々試行錯誤があったんだろうな。
SonicGardenさんとスタイルが似ていることもあり、興味深々だった。
高専生と取り組むScrum(仙台高専 力武克彰さん)
なぜScrumか
高専生は実装は得意だが、実装だけでは価値は生まれない。
なので、価値を生み出すところをキチンと抑えて欲しい。
取り組んだこと
ETロボコンへの参加(H23~H25)
スクラムの要素を取り入れながら実施した。
Webアプリ開発のプロジェクト 児童向け物語創作システム
実際にどうやっているのか?
力武さんがスクラムマスターとなり、高専生にプロダクトオーナーや開発者など様々な役割をふっている。
成果物
- プロダクトバックログ
- スプリントバックログ
- インクリメント
- スプリント計画ミーティング
- プランニングポーカーでの見積もり
- 昼会(デイリースクラム)
- デモ(スプリントレビュー)
- ふりかえり(レトロスペクティブ)
- ユーザービリティテスト
スクラムに取り組んでみた印象
一番使えると思っているのはふりかえりと計画ミーティング。これはチームの現在地を確認できる場として使える。 高専生は人間関係はできているが、逆にそれを壊すことを恐れるため一歩踏み出せないことがある。
開発対象の理解不足など、2週間で要求~受け入れまでを行うのは本質的に難しい
問題課題が見えると学生が自発的に動き出す。
スクラムマスターのお仕事はサーバーントリーダーシップ。
もっぱらお菓子の買出しを行っている。
困っていること
情報共有
環境・ツールについて
- コミュニケーションコストを下げる
- メンテナンスコストを下げる
- 学習コストを下げる
高専生が生き残るためには
- 「頼れる仲間」を「きちんと頼る」ことができればもう何も怖くない
- 組み込み系のPBLを実施している
- スーパーエンジニアとの出会い
質問
【質問】
モチベーションが低い人をどう持ち上げていくか?
【回答】
あの手この手で頑張っていますが悩んでいます。。。
【質問】
物書きは楽しくない
【回答】
本来は論文も含めて、プロダクトにするのがいいと思う
【質問】
2011年以前の学生とそれ以降の学生の違いは?
【回答】
昔は高専生ならではのガムシャラ力に頼っていた。
スプリント毎にやると効率的にできるようになってきた。
【質問】
出会いの場を作るためにはどうでしょうか?
【回答】
本当は仙台の近くにあればいいんだけど、なかなかそうも行かない。
平日の勉強会に行けるのはかなり意識が高い学生
感想
Scrumを忠実に実施している印象を受けた。
やっぱりグッと来たのは、以下の言葉。
高専生+方法論(PDCA)=価値を生み出せる創造的技術者
力武さんの、高専生をもっと高く売り込みたい!というのがとても素敵だと思った。